OpenAI の Victor E. Nunez 氏が X に投稿しました(2026-09-04 投稿、2026-09-05 取得)。新モデル Astra の展開に合わせて AGENTS.md と skills を見直して整理し、推論の深さの設定(reasoning level)も見直す良い機会だ、という内容です。SNS では「AGENTS.md を削れ」と受け取られて広まっています。

CLAUDE.mdAGENTS.md を育ててきて、次のモデルが来たときに何をすればよいか分からない人向けです。先に要点だけ:

  • 原文が言っているのは「見直して整理せよ」まで。私はこれを、指示ファイルが大きくなっている人への「削る合図」と読んでいる
  • 削り方はすでに 2 通りある。「モデルが自力で分からないことか」で 1 行ずつ判定する方法と、規則をわざと破ってビルドが落ちるかで判定する方法
  • 全プロジェクト共通の指示ファイル 2 本(25 項目)に前者を当てたら、削除候補が 9 項目出た

消える行の見分け方は「書かなくてもモデルがやるか」

指示ファイルの行は、書いた時点のモデルが自力でできなかったことの記録です。モデルが変わると、そのうちのいくつかは書かなくてもやるようになります。その分が消す候補です。

前のモデル 指示ファイル 一次資料に当たる スコープを勝手に変えない 権限の回避を試みない private なら確認なしに push public 化は禁止 どれも書かないとやらなかった(当時) 次のモデル 書かなくてもやる。消す候補 一次資料に当たる スコープを勝手に変えない 権限の回避を試みない 読んでも分からない決め事。残す private なら確認なしに push public 化は禁止 行は同じ。モデルの側が変わった

OpenAI の公式文書では、Codex の changelog と GitHub の releases に同趣旨の記述は無く、openai.com は未確認です(2026-09-05)。

削り方は 2 通り

Microsoft の .NET ブログが 2026-08-12 に基準と手順を書いています(Instructions Hygiene: What Frontier Models Still Need You to Say)。OpenAI の投稿はタイミングを言っています。合わせると、世代交代のたびに 1 行ずつ判定し直す、になります。

方法 問い 向いている行 記事
基準で選別 モデルが自力で分からないことか 方針、権限、ローカルの決め事 8 月 21 日
ゲートで実測 わざと破ったとき CI は落ちるか 書式、語彙、構造 8 月 7 日

順序は、前者で全行を振り分け、機械で検査できる行だけ後者で確かめる。

指示ファイルの全行 1 行ずつ振り分ける モデルが自力で分からないことか 分からない 権限、決め事、禁止 分かる 書かなくてもやる 残す 消す 機械で検査できる規則(書式、語彙)は追加で わざと破ってビルドが落ちるか 落ちれば消す、落ちなければゲートを書く

自分のファイルで判定すると、残るのは権限と決め事だけになる

対象は、全プロジェクトで毎回読ませている 2 本です。~/.agents/AGENTS.md は全ハーネス共通の指示で 13 項目。~/.claude/CLAUDE.md はそれを取り込んだうえで Claude Code 専用の項目を持っていて、固有部分が 12 項目。判定は手元で作ったスキル(未公開)に行ごとの分類と根拠を表で出させ、その根拠を私が読んで確かめました。分類は次の 4 つです。

  • 自動検査が既にある: lint や CI が同じ規則を強制している
  • 書かなくてもやる: 一般的な作業の原則で、指示しなくてもモデルがそう振る舞う
  • 別のファイルにもある
  • 残す: どれにも当たらない
ファイル 項目数 削除候補 残す
~/.agents/AGENTS.md 13 5 8
~/.claude/CLAUDE.md 12 4 8
共通ファイル 2 本、25 項目 残す 16 削除候補 9 削除候補 9 の内訳 書かなくてもやる 7 別に有 2 7 は、モデルが賢くなるほど増えるはず(未検証) 2 は、ファイルの層を決めたら消えた

削除候補 9 の内訳:

  • 「書かなくてもやる」7: 「一次資料に当たる」「スコープを勝手に狭めない」「権限の回避を試みない」「方針決定はメインが行う」「執筆はメインが行う」とその理由の段落、「機械生成データを設定管理に追加しない」。最後の 1 つは、その前にある「設定は chezmoi にも反映する」の副作用を防ぐので残してもよい
  • 「別のファイルにもある」2: 「引用や数値は元の記事を取り直して照合する」がもう一方のファイルにもある。「ビルド出力を検査する」はリポジトリ側の指示ファイルと CI が担う

残す 16 は、応答を日本語にする、private リポジトリなら確認なしに push してよい、public 化は禁止、設定ファイルは chezmoi で管理している、照合と目視確認はサブエージェントに出す、など。コードや設定を読んでも分からない、私の決め事と権限の付与です。「public 化の禁止」はモデルが知っていても残します。破ったときの代償が大きい規則は消しません。

「別のファイルにもある」2 は置き場所の問題でした。2 本に何を書くか決めていなかったので、似た行が両方に育っていました。そこで ~/.agents/AGENTS.md を元にするファイルと決め、委譲方針もそこへ移しました。~/.claude/CLAUDE.md はそれを取り込む行だけを持つ参照専用のファイルにしました。これで 2 項目は消えました。

「書かなくてもやる」7 のうち 6 は消しました。残した 1 つは「機械生成データを設定管理に追加しない」です。

世代交代のたびにやること

  • 新しいモデルに切り替えたら、指示ファイルを 1 行ずつ「モデルが自力で分からないことか」で振り分ける。25 項目で 1 セッション
  • 消えるのは、指示しなくてもモデルがやる行。残るのは権限、禁止事項、ローカルの決め事
  • 指示ファイルが複数あるなら、削る前に何をどちらに書くかを決める。層が決まれば似た行は片方が消える
  • 消す前に、その行が入った理由を見る。「前のモデルがしなかった」なら新しいモデルで試してから消す。「代償が大きい」なら残す